今年の大河ドラマ、青天を衝け、主人公、渋沢栄一の生涯を描いている、雄気堂々をおすすめします。私の大好きな作家、城山三郎先生の作品です。経済小説の祖と言われる先生の歴史小説であり、明治維新を経済的な観点も含め描き出しています。
また、明治の元勲といわれる、西郷、大久保、木戸、江藤、大隈、伊藤、井上を目の前にいるように、リアルに描き出します。三菱、三井財閥の創世記であり、その登場人物も生き生きと描かれています。明治維新の息遣いをとても感じられる作品となっています。
武蔵国、血洗島、現在の埼玉県深谷市出身の渋沢栄一が、一農夫より尊王攘夷の志士となり、横浜焼き討ちを画策、断念。縁あって徳川慶喜の家臣となり、その弟君が外遊する際2年間欧州に随行します。この経験がその後の渋沢の運命を変えていきます。主人である最後の将軍、慶喜とのやりとりも、明治維新を幕府側から考えられ、とても面白かったです。
慶喜の家臣となり幕臣ともなった渋沢なので、明治維新後は、一旦慶喜について静岡に勤めますが、大隈重信の要請、欧州での2年間の経験と評判がもとで、明治政府の官僚として辣腕をふるいます。その後、上部との衝突もあり、民に移り、以前より懸案の日本での株式会社設立、育成へと邁進し、日本の資本主義の父、にまで発展していきます。三菱財閥の岩崎弥太郎との攻防も読み応えがあります。
今風に言えば、一農民よりテロリストとなり、政府関係者、海外派遣、地方役人、政府官僚、銀行家、株式会社役員、経営者、明治の元勲と波乱万丈の生涯を満喫し、91歳で大往生を遂げます。凄まじい人生です。その成功を支えたのは、志、行動力、思考力、人間力、それに老練さにあったと思います。
コロナ禍、幕末のような閉塞感を感じつつ、次の明治維新のような、ポストコロナの時代に向けて、読むべき一冊だと思います。日曜日の今日、8時より大河ドラマでどのように、渋沢を描きだすのか、今から楽しみです。

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