まずは、作家つながりで城山三郎さんの作品です。

城山さんと言えば経済小説の祖と言われるぐらい、硬派の経済ものを書ているイメージがありますが、意外とサラリーマンの日常を描いた作品も多くあります。

また、人気のある作家ということで、B社に行くと多数在庫があるので、読む機会が多く持てます。それでは順次作品を紹介します。

①毎日が日曜日 準主人公の定年前後のサラリーマンの考え、行動、感情に焦点をあて、そこよりこのタイトルがついています。私が定年近いので、準主人公に思い入れの強い作品だった印象があります。定年を迎えるにあたり、人生で大切なものは何か、幸福とは何かを準主人公を通して考えさせられる作品です。時代背景は昔の作品で、高度成長時代ですが時代が変わっても、人間の本質は変わらないと思いました。

②粗にして野だが卑ではない 石田禮助の生涯について書かれています。主人公は三井物産の社長として華々しい成果をあげた後、78歳で6年間国鉄総裁となり、経営合理化に辣腕を振るい、92歳に大往生をとげています。特に最晩年に庵の様な所にこもり、体の動くときは書をたしなみ、徐々に衰弱して亡くなっていく様子が、理想的な人間の最後として胸に迫ります。

③部長の大晩年 実在した人をモデルにした作品です。会社員として部長まで一応出世した主人公が、55歳で定年退職その後、97歳の大往生まで辿りながら、第二の人生を異端の俳人として情熱をもっていかに生きかを描いた作品。定年後の第二の人生を考えさせる作品。

④そうか、もう君はいないのか 城山さんの奥様の追憶記。硬派の経済作家とのイメージが強いですが、その奥様への愛情が出会いから時代を追って細やかにつづられています。奥様、容子さんが亡くなったことを、ショックのため、かなりの期間認めなかったとの逸話が残っており、題名もその流れを汲んでいます。夫婦とは何かを考えさせる、胸にしみる作品です。ちなみに、この様な作品でもう一点おすすめは、眉村卓の、妻に捧げた1778話もおすすめです。

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