続いてのおすすめ作家は立松和平さんです。立松和平と言えばイメージとして、社会派小説家、エッセイイスト、旅行家と思われるかもしれませんが、晩年は宗教、禅について多く著書があります。
私が禅についてより興味を持ったきっかけも、良寛と言う小説との出会いでした。禅は書籍になると固く、難しいイメージになりがちですが、立松さんの小説により主人公を通して、生き生きとその実態を表し、理解を助けてくれます。それでは紹介いたします。
①良寛 立松さんの遺作 越後の禅僧 良寛の生涯を描いています。途中で絶筆されておられますが、ご子息の方が引き継いで最後まで書かれています。良寛の生きざま、その時代の背景を見事に描きだしており、秀逸の作品です。私が服とか物をぼろぼろになるまで使い、妻にみっともないからやめろと注意を受ける事が多くありました。自分でもなぜそこまで、こだわるのかがわかりませんでしたが、小説の中に同じような場面があり、人も物も自分の寿命を大切にし、とことん使い切ることにより、悟りを開き、心穏やかに成仏できるという趣旨に、理解できる場面があり、長年の疑問が解け、悟りに近づけたと思いました。
②道元禅師 曹洞宗永平寺を開いた道元の生涯を追った作品。道元は京都の公家、藤原氏の出身で、場合によっては関白まで上り詰めれる立場でした。しかし、幼少期に自ら出家して仏教の道に入っていきます。物語も生涯仕えた従者の方の語りで書かれており、リアリティがあります。永平寺の全面的なバックアップがあった様で、史実に忠実に記されています。道元ほどの高僧がなぜ、言い方は悪いですけれど、福井の山奥に本拠地を移さなければならなかったのか、長年の疑問がこの小説で氷解しました。また、道元でさえも亡くなる間際は、故郷が恋しく、京都に帰り亡くなっています。そのような道元の生涯が生き生きと描きだされています。また、禅についていろんな場面でその教えにふれ、禅とは何かについて繰り返し説明してくれています。
返信がありません