単身赴任 高峰譲吉

最後に高峰譲吉博士について記します。高峰博士ってだれ?と思う方が多いと思います。私も金沢にくるまで,ぜんぜん知りませんでした。

地方新聞にその功績が記事として掲載されているのを、たまたま読み興味を持ちました。そして調べてみると、何と私の解散になったワクチンに特化したベンチャー企業の親会社、大手内資系企業の創業者、初代社長でした。

この大手内資系企業は日本でも3本の指に入るDS社で、Sの方の創業者でした。これには驚きましたが、金沢市内にある金沢ふるさと偉人館にその功績がたたえられ、ゆかりの品が展示されたり、銅像があったり、住居跡にモニュメントが作られていたりと、市内にも史跡が多く存在しています。

また、現在でも金沢市内の中学で優秀な成績を収めた生徒に、高峰賞を毎年10名ずつ位授与しているとの事です。

では、この高峰譲吉博士はどういう人物か記したいと思います。1854年に加賀藩の漢方医の家に生まれ、金沢市で育ちました。

12歳で加賀藩から選ばれて長崎に留学し海外の科学に触れたのを最初に、京都の兵学塾、大阪の緒方塾(適塾)、大阪医学校などで学び、工部大学校(後の東京大学工学部)応用化学科を首席で卒業しています。

幕末から明治維新の動乱の時期に重なりますが、高峰博士は学ぶ意欲を失うことはありませんでした。そして、26歳の時、明治政府からの留学生として、3年間英国スコットランド、グラスゴーに留学しています。

その後、農務省に入省、1884年に米国ニューオリンズで開催された万国工業博覧会に事務官として派遣され、そこで出会ったキャロライン・ヒッチと婚約、1887年に結婚しています。

米国人の女性と正式に結婚した最初の日本人と言われています。

そして、現在の日産化学にあたる会社を設立したりしています。その後、1890年に研究のため、渡米し、艱難辛苦の末、1894年にタカヂアスターゼを発明、商品化に成功します。世界的な消化薬として評価を受け、富を得ます。発見から100年以上たっていますが、今でも世界で利用され、日本でもトン単位で使用されています。

そして、1900年アドレナリン結晶化成功、商品化し、世界的な発明となり、世界への普及を通して、巨万の富を得る事となります。

また、1913年製薬会社S社を日本で設立し、初代社長となり、タカヂアスターゼ、アドレナリンの独占販売権をあたえ、日本での販売、普及に努めました。

アドレナリンも発見から100年以上たちますが、現在でも世界中の病院で常備薬となり、多くの命を救い続けています。昇圧薬、強心薬として汎用され、急性低血圧、ショック状態で汎用されています。

また、近年急性のアレルギー反応、アナフィラキシー、ショックに対し応急処置のできるエピペンが発売され、学校、診療所に常備され、食物アレルギー、蜂に刺された後のアレルギー反応に使用し、効果を上げています。

現在、100年以上たっても使用されている医薬品は、あとアスピリン位と言われており、そのうちの2つを高峰博士が発明し、商品化、世界に普及した事になります。

また、国民的化学研究所設立を提言し、政府の出資と財界からの寄付で1917年理化学研究所設立に貢献、この理化学研究所からは2人のノーベル賞学者を輩出しており、もちろん今でも日本科学技術の研究の最先端を走っています。

この理化学研究所の設立100周年記念事業が各地で行われましたが、高峰博士に敬意を表して金沢でも講演会が開催されました。私も参加し知見を広げてきました。

財を成してからは、ニューヨークの桜で有名なポトマックの桜寄贈のスポンサーとなり、日米親善に貢献しています。そして、67歳の時にニューヨークで急性腎臓炎が原因で亡くなっておられます。

その大半を米国で生活し、亡くなった時多くの米国人に惜しまれ、今もニューヨークの郊外の墓地に永眠しておられます。

時代としては、野口英世とほぼ同時期の科学者ですが、知名度はずっと低い印象です。しかし、日本の科学技術発展に与えた影響は、野口英世より、計り知れない位大きいと思います。

いかがでしょうか、この様な偉人が身近の出身であったことが驚きであり、福井県出身の私が、同じ北陸にこの様な偉人がおられる事を知り誇りに思います。

以上、金沢に単身赴任してからの研究成果、私が歴史好きなので、歴史的な内容が多かったですが、その赴任先でしかわからない事が多くあります。

それをほり下げて調べ、自分の人生経験の一部とする事は、知的好奇心を刺激し、また多くの学びを得る事ができます。

ある意味人生の宝となります。毎週、散歩で金沢ふるさと偉人館の高峰博士の銅像の前を通りますが、目礼をして、いちファンとしてリスペクトをあらわしています。

皆様も必ず単身赴任先にはこの様な何かが存在しますので、それを見つけ探究することは、人生を大いに豊かにすると思います。

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