単身赴任 子供との関係

続いて3人の子供との関係ですが、おかげさまで皆、高校卒業の年齢に達しました。一様に手のかからない年齢となり、子育てもひと段落というところです。

単身赴任を始めたころは下の子が、幼稚園に入園したころ、上の子がまだ小学校低学年でした。まだまだ手がかかり、毎週自宅に帰り妻を手伝っていた事を懐かしく思います。この経験より子育てについて思うところを成長順に述べて行きたいと思います。

まず、3人とも地域のサッカーチームに入り、小学校時代を過ごしました。土日・祝日に練習があり、練習試合、大会がときに入るようなクラブでした。

お茶当番、試合の車だし等があり時間を取られることが多かったですが、無心にボールを追う子供たちを見ていると心が洗われ、とても自分自身の励みになったのを覚えています。

また、子供との関わりも保て、共通の話題ができ、単身赴任中であっても良好な親子関係を保てました。もちろん、私はサッカーについては学校の授業で少し習った程度で、何の経験もありませんでしたが、新たな分野に関心が持て面白くその時期を過ごすことができました。特に親のスポーツ経験は必要ないと思います。

本音を言えば、やっと子供が小学校に入り、少し手が離れ休日はゆっくりできると思ったときに、妻よりサッカーチーム入団の提案があったときは、ネガティブな思考になったのは事実です。

しかし、今から思い返せば入って本当に良かったと思います。私の経験を語りますと、小学校時代、田舎で育ったこともあり、時代的にもそのようなクラブはありませんでした。

なので、小学校時代は同級生と遊ぶ、家族と過ごすくらいで、時間を持て余していた記憶があります。しかし、小学校6年間は長いのです。

高校卒業までの18年間の子育てのうち、実に3分の1、学校に通う期間の2分の1を占めます。また、一番子供が成長する時期であり、この期間をいか生活するかは、子供の成長に大きく影響すると言えます。

このクラブ活動を通して、子供たちが人とのコミニケーション、自分のポジション、やり抜く力グリットを学んでいったと思います。

まずコミニケーションですがスポーツを通して人と会話をする事を学ぶことは意義があると思います。特にITが発達してきている現在、自分の思うことを適切に言葉にすることは、意思疎通を図る意味で大切です。

また、自分とは何者か、集団の中での立ち位置、ポジション、集団が変化した時の変化への対応等、おぼろげながらも意識することができ、学んで行くことができたと思います。

例えば途中よりサッカーの上手な子が入ってきて、チームのポジション、雰囲気、人間関係が変化した時の対応が考えられます。

これはまさに一般社会で起こっている事とある意味同じであり、そのトレーニングを子供のうちにしている様なものです。

最後にやり抜く力グリットです。数年前にこの題名の本がベストセラーになっていましたが、人生において成功を収まるためには、一つのことをやり抜く力が重要であるとの考え方です。

たしかに、成功を収めようと思えば一つの事を時間をかけて、粘り強く取り組んでいくことが必要であり、エジソンは電球を発明するまでに1万回以上の実験を繰り返した事は有名であり、その他成功した偉人には同じような事例が多く知られています。

小学校6年生までのクラブ活動でやり抜く力がはぐくまれたと思います。一方、例えば自宅でゲームばかりをやっていては、この様な能力は成長の機会が限られてしまうと思います。

ただし、気を付けなければいけないのは、そのクラブ活動が子供の性格、適正に合わない時は無理強いしない事です。

背中をおす意味で少し強制力は必要と思いますが、必要以上に嫌がるようなら違うクラブ活動、スポーツを模索すべきです。

やり抜く力グリットは自分に対し意義のあることに対する粘り強さであり、その選択を学ぶ事も重要なポイントだと思います。

また、自分にとって意義がないと見極められる力も必要であり、その時は次の意義を探し、切り替えられる能力、場合によっては適正に合わない環境から逃げ出す能力も必要と思います。

日本では時として逃げることに対してネガティブな思考が働きがちですが、逃げるが勝ちのことわざがあるように、織田信長も浅井、朝倉に挟まれそうになった時、いち早く逃げましたし、徳川家康も武田信玄との戦いで失禁しながら逃げかえりました。

その時、目の前の戦にプライドとかメンツをかけて戦っていれば、その後の彼らの天下取りはあり得なかったと思います。

また、働き方改革のきっかけとなった某有名広告代理店の若手社員のエピソードですが、場合によっては逃げる力があれば回避できたのではないかと悔やまれます。

この様にクラブ活動を通して子供たちがストリートスマート的な頭の良さを身に着けて行ってくれた事はうれしい限りです。

このストリートスマートは勝間和代さんが良く本で書いておられるのですが、アカデミックスマートはいわゆる学歴、学校の成績に当たりますが、ストリートスマートは人情の機敏や人の動きをよく分かっていて、どういう状況でも正しい判断がよくできて、かつ自立心旺盛であり、独りよがりではないというイメージです。

両方の能力を備えることが重要ですが、現代はアカデミックスマートが重視され、それに偏った教育がなされています。しかし、一般社会では、ストリートスマート的な能力がむしろ必要とされるのは周知の事と思います。

また、この経験でクラブ活動の指導者にお願いしたいのが、地域のクラブ活動であれば、勝負にこだわらず、その活動を多くの子供に分かち合い、楽しみ、喜びを経験させて欲しいということです。

私の子供の入っていたクラブは地域の小学校のスポーツ少年団的な活動が発展したクラブで、練習も小学校のグランドを使っていました。

また、指導者は保護者の中から、または小学校の先生で、サッカー経験者が選ばれるのがほとんどでした。

そのため、先述した要望を取り入れてくれる事が多かったのですが、指導者によっては勝ちにこだわり、上手な子供だけを試合に出し続ける事がありました。

うちの子供もベンチにいることが多かったのですが、これではサッカーの楽しみ、喜びの経験の多くを失っていると思います。

そのような指導者にみられる傾向として、将来一流になっていけるような選手を育てようとする傾向があります。

しかし、その時の子供のチームメイトでそれなりにうまい子もいましたが、そこまでの高みに達した子は皆無でした。

また、本当に上手な子はさらなる高みを目指して、地域のクラブから民間運営のクラブチームに移籍していく傾向にあります。

であれば、サッカーのファンを増やしているくらいの考えで、結果にこだわらず多くの子供にサッカーでの成功、失敗をより多く経験させて欲しいと思うのです。

人数が多い学年であれば、2チームに分けて試合エントリーするとか、ローテンションで均等に試合に出場するとかの工夫はいくらでもできると思います。

その事を経験した子供たちが将来サッカーのファンになり、スポンサーになり、サッカーという競技を根底から支え発展させてくれると思います。プロになるような選手育成はクラブチームに任せておけばよいと思います。

この小学校でのサッカー経験が中学校の部活につながってい行く傾向が強く、中学校では経験者としてスタートできるメリットもありました。

また、地域のクラブなので小学校をまたいで活動するケースが多く、自分の小学校以外の子供たちと交流することができ、親も違う小学校の事を知り、交流できることも大きなメリットでした。

この様に子供を育てるのに地域のクラブ活動の盛んなエリアに自宅を構え、転勤があった場合は単身赴任で対応する方法は子供にとってメリットが大きいと思います。

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